実際に発注者様に多く見られるドローン測量をすれば確定測量もできるんじゃないの?という認識について解説します。
確定測量とドローン現況測量の主な違いは、測量の目的、精度、方法、および利用場面にあります。以下にそれぞれの特徴と違いを説明します。
確定測量
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目的
土地の境界を確定することが主目的です。法的効力を持つ資料を作成するため、土地の所有権や境界線の争いを解決する際に用いられます。 -
特徴
- 高い精度が求められる。
- 法的基準に基づいて行われる。
- 測量士などの有資格者が行う必要がある。
- 現地調査のほか、既存の土地図や登記簿との照合が必要。
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使用場面
- 土地の売買や分筆・合筆時。
- 境界紛争解決のための証明資料作成。
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測量方法
- 地上型の精密測量機器(トータルステーションやGNSSなど)を使用。
- 境界標の設置も行う。
ドローン現況測量(Drone Survey / UAV Mapping)
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目的
現地の状況を広範囲かつ迅速に把握することが主目的です。特に土地の起伏、構造物、地物の位置などを高解像度で可視化する際に使用されます。 -
特徴
- 高速かつ効率的に広範囲を測量可能。
- 法的効力は通常持たないが、設計や計画段階でのデータ作成に適している。
- オルソ画像や3Dモデル、点群データを作成可能。
- 精度は用途に応じて調整可能(数cm〜数十cm程度)。
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使用場面
- 土木・建設工事の進捗確認や設計支援。
- 農地のモニタリング。
- 災害調査や環境調査。
- 開発計画やインフラ維持管理。
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測量方法
- ドローンに搭載したカメラやLiDAR(レーザー測量装置)を使用。
- 空撮画像を専用ソフトで処理して地形データや3Dモデルを生成。
項目 | 確定測量 | ドローン現況測量 |
目的 | 法的境界の確定 | 現地状況の可視化と把握 |
精度 | 数mm単位の高精度 | 数cm〜数十cm(用途に応じる) |
法的効力 | 有り | 無し |
手法 | 地上型機器による詳細測量 | ドローンによる空撮・データ処理 |
速度 | 時間がかかることが多い | 短時間で広範囲を測量可能 |
利用場面 | 土地売買、境界争い | 設計、工事、モニタリング、災害対応など |
どちらを選ぶべきかは、測量の目的と必要な精度や法的要件によります。場合によっては、両者を組み合わせて利用することも効果的です。
結論的に言うとドローン測量では確定測量はできません。